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太宰治『ヴィヨンの妻・桜桃他八篇』
カテゴリ: 小説
ヴィヨンの妻・桜桃・他八篇 (岩波文庫)ヴィヨンの妻・桜桃・他八篇 (岩波文庫)
(1987/10)
太宰 治

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(1)関連記事
 未検出

(2)評価(最低1点から最高5点までの5段階)
・読みやすさ     5点
・内容充実度     2点
・文章自体の面白さ 5点

(3)一言コメント
 太宰治の短編小説とエッセイを中心に10作を集めた短編集。小説は物語に劇的な展開があるわけではなく、エッセイは内容に重みも深みもない愚痴だらけだが、文体だけですんなりと読ませてしまう魔力がある。太宰の文章力に感心してしまう一冊。

(4)珠玉の一節
 「もののはずみ」とか「ひょんな事」とかいうのは、非常にいやらしいものである。それは皆、拙劣きわまる演技でしかない。稲妻。あー こわー なんて男にしがみつく、そのわざとらしさ、いやらしさ。よせやい、と言いたい。こわかったら、ひとりでうつ伏したらいいじゃないか。しがみつかれた男もまた、へたくそな手つきで相手の肩を必要以上に強く抱いてしまって、こわいことない、だいじゃぶ、などと外人の日本語みたいなものをつぶやく。舌がもつれ、声がかすれているという情けないありさまである。演技拙劣もきわまれりと言うべきである。「甘美なる恋愛」の序曲と称する「もののはずみ」というものの実況は、たいていかくのごとく、わざとらしく、いやらしく、あさましく、みっともないものである。

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Edit / 2009.08.13 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
中島みゆき『2/2』
カテゴリ: 音楽
2/2(にぶんのに)2/2(にぶんのに)
(1996/11)
中島 みゆき

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(1)関連記事
「南三条」(全くの初心者による中島みゆき全曲解説)

(2)評価(最低1点から最高5点までの5段階)
・読みやすさ       3点
・内容充実度       2点
・「夜会」で見るべき度 5点

(3)一言コメント
 中島みゆきによる音楽舞台「夜会」の第7回の小説化。ファンである私が見ても大した出来とは思えないが、中島みゆきが長編小説に挑戦したという意味では価値のある一冊。中島みゆきのすごさを知りたいなら、「夜会」のDVDを見るべきではなかろうか。小説としての完成度の低さから、あえてジャンルを「音楽」に分類した。

(4)珠玉の一節
 「いいんです、ここで……あの、ちょっと横にならせていただくかもしれませんけど」
 そう言い終らないうちに、強烈な稲光が走り、ほとんど同時にロフトを震わせるほど大きな雷鳴がとどろいた。どこか近くに落雷したようだ。
 悲鳴をあげて思わず圭にしがみついた莉花を抱きとめた腕を、そのまま圭はほどかなかった。――

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Edit / 2009.08.01 / Comment: 0 / TrackBack: 0 / PageTop↑
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HIP代表・盗賊

Author:HIP代表・盗賊
記事の項目について
(1)関連記事
 紹介する本について、主に「北海道独立計画」で触れた記事、直接触れていなくても参考文献として使用した記事を紹介しています。
 今後、トラックバックに成功した記事についても掲載する予定です。

(2)評価
 最低1点から最高5点までの5段階で評価しています。
 評価項目については「読みやすさ」と「内容充実度」は固定、もう一つの項目は本によって独自の項目を設けています。
 最後の独自項目については評価が5点になるような項目を作ろうと思っています。

(3)一言コメント
 短文が苦手な私・盗賊が、ヘタクソなコメントを付けています。

(4)珠玉の一節
 その本の中でいい意味でも悪い意味でも印象に残った一節を紹介します。「珠玉」が皮肉なのか賞賛なのかはその本を読んでご判断ください。

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